Ecocapsule

少し疲れています。気になるニュースはいろいろありますが、あえて触れません。

多くの人が1つの事象に集中している時には、得てして、コトの本質が見えなくなっているものです。そういう時には、できるだけ沈黙するようにしています。

こんな性格だからでしょうか、スクープとは無縁です。でも、それはそれで、いいのです。なにごとも無理をしすぎると、心にも体にも良くありません。

本日は、ニュースともスクープともまったく関係なく、ちょっとワクワクするような商品をご紹介したいと思います。「Ecocapsule」と言います。昨年、あるサイトでその存在を知ってから、ずっと気になっていました。

今回、たまたまその大元のサイトを訪ねたら、50個限定で先行販売を受け付けていました。

https://www.ecocapsule.sk

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ご覧の通り、卵型のフォルムがなんとも愛らしいカプセルです。ちょっと怪しい感じが、たまりません。草原などで見かけたら、宇宙船だと思って驚くでしょう。

あるいは、恐竜の卵かと。

屋根に太陽光パネル、前方には発電用の風車を搭載しています。雨水を貯めて使うこともできるそうで、サステイナブル・リビングを謳っています。設計したのは、スロバキアの建築家・デザイナーのチーム「nice architects」。ネーミングもまた、ナイスです。

彼らのホームページを覗いたら、コンセプトを紹介した中に、こんな文章がありました。

Ecocapsule fits into a standard shipping container and no special preparations and precautions are necessary to transport Ecocapsule worldwide. It can be shipped, airlifted, towed or even pulled by a pack animal.

エコカプセルは2人用。一般的なコンテナの大きさに合わせて作られているため、世界中、どこへでも運ぶことができます。

自然エネルギーうんぬんよりも、思わず、目が釘付けになったのは最後の部分。「a pack animal」ってなんだろうと思ったら、荷物を運ぶ牛や馬、ラバのことでした。

牛に引かれたエコカプセル。まるで平安時代の貴族のようでイケていますが、どこへ連れて行かれるんだろう、と心配になります。

動くカプセルと聞けば、私は故・黒川紀章氏の作品集にあった「ムービング・コア」を思い出してしまいます。カプセルファンならば、きっと、おわかりでしょう。(そうでない方は……いつか、どこかで詳しくご説明します)

で、まさかねぇ……と思っていたら、ありました!

サイトにあった映像をクリックしたら、終わった瞬間に現れた関連映像の中に、中銀カプセルタワービルとカプセルホテルを紹介した映像が!

つい、我を忘れて興奮してしまいました。

日本的経営の進化版?

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)東京オフィスの代表が、この1月で交代されました。新代表に就任したのは、杉田浩章氏です。連載とは別に、編集長と一緒にインタビューした記事の後半がアップされています。

BCGと聞いて思い浮かぶのは、初代東京オフィス代表のジェームズ・アベグレン氏です。「日本的経営」を形式知化して欧米に紹介したのも彼。奥様は日本人で、晩年は日本国籍を取得し、2007年5月に亡くなるまで東京で暮らしておられたようです。

第二次世界大戦では、アメリカ軍の兵士としてガダルカナルや硫黄島での戦闘にも参加したそう。戦後は米軍戦略爆撃調査団のメンバーとして広島に赴いていたという経歴も、何やら魅かれるものがあります。

それはともかく、デジタル時代に対応した「新・日本的経営」は可能なのでしょうか?

このところ、気になっているテーマのひとつです。

社会正義とビジネス

ハーバード・ビジネススクールのマイケル・ポーター教授と言えば、少し前はゴリゴリの競争戦略論で知られていました。しかし、最近ではむしろ、CSV( Creating Shared Value:共通価値の創造)の提唱者として有名です。

では、CSVとは何でしょう。

企業の目的は本質的に利潤の追求である、というのが彼の基本的スタンスです。一方で、人類は経済格差や環境問題など様々な社会的課題を抱えています。これらの問題に対しては、もっぱらNPOなどの非営利団体が取り組んできましたが、そうした活動は自ずと限界があります。

これまで、そうした社会的課題の解決と利潤の追求はトレード・オフの関係にあると考えられがちでしたが、そうではなく、両者共通の価値を創造し、つなげていくことで、ビジネスをしながら社会改革を進めていくことは可能だ、とポーター氏は主張しています。

今回はそんなポーター氏の考え方に関連し、外務省、国連を経て、現在はデロイト・トーマツ・コンサルティングの執行役員を務めておられる、田瀬和夫さんにインタビューしました。田瀬さんの主張と取り組んでいる仕事に関しては、日経Bizアカデミーのサイトにある記事を読んでいただきたいのですが、加えて注目して欲しいのは、多国籍な人々が集う国連の組織文化と仕事の進め方です。こちらに関しては、翌週(28日)公開予定の記事で触れています。多様性ある組織の運営に関心のある方には、参考になる話だと思います。

記事は公開初日だけどなたでも読めますが、翌日からは日経IDを入力しないと読めない仕組みになっています。(ちなみに、IDは無料でどなたでも取得できます)

ところで、マイケルと言えばもう1人、有名な方がいます。『これからの正義の話をしよう』でおなじみの、マイケル・サンデル教授です。マイケル・ポーターが経済学博士を持つ経営学者であるのに対し、サンデル氏は政治哲学を専門としています。彼が唱えるキーワードは「共通善」。市場原理を全面的に肯定するのではなく、それがいたるところに適用され、すべてが「市場化」していくことを憂慮しています。

TEDで、2人のマイケルが討論した動画もあるようです。それについて紹介した記事がネット上にありましたので、興味のある方はご覧ください。日本語による解説も付いています。

個人的には「善」を考えると同時に「悪」も考えた方が、現実社会への応用はむしろ、うまくいくような気がしています。人間はたいてい、「善」と「悪」の両面を持っています。そして、悪事にはたいてい動機があるもの。「ものすごくいい人」は動機なき悪事と同様に、むしろ、怖いです。

動くひと

1月も半ばを過ぎ、何かと忙しくなってきた時期ではないかと思います。今週も、いろいろとありました。一部をご紹介したいと思います。

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欠かせないのは1月13日の夜、東京・下北沢にあるB&Bという本屋さんでトークイベントに参加したことです。

昨年春に出した『メディア・モンスター』(草思社)と、「中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト」のメンバーによる『中銀カプセルタワービル 銀座の白い箱舟』(青月社)の刊行を記念して、両社共同で開催しました。

フリートークの司会を引き受けてくださったのは、ジャーナリストの佐々木俊尚さんです。じつは佐々木さん、2009年に『仕事をするのにオフィスはいらない:ノマドワーキングのすすめ』(光文社新書)という本を刊行されていまして、その中で、黒川紀章さんと中銀カプセルタワービルについても触れています。

当時、黒川さんについて公に言及される方はほとんどいませんでしたから、ずっと記憶に残っていました。ちなみに同じ頃、ニューヨーク・タイムズは「Future Vision Banished to the Past」と題し、中銀カプセルタワービルの解体を惜しむ記事載せています。

黒川さんのノマド論があくまで「物理的に動くこと」に重点を置いていたのに対し、佐々木さんはもはや物理的に移動しなくても良くなったデジタル時代のノマドワーキングについて書かれています。そうした違いも比較しながら読んでみたら面白いかと思います。

さて、本番ではまず私が「黒川紀章と中銀カプセルタワービル」と題し、ビルが現在の地に建つまでの軌跡を、黒川さんの人生に沿って説明しました。本には載せていない資料も幾つか、スライドでお持ちしました。

生まれて初めてのkeynoteを使ったかっこいいプレゼン……になるはずが、いろいろあってPDFを使ったプレゼンにはなりましたが、それなりに楽しんではいただけたようです。『メディア・モンスター』の副題は「誰が黒川紀章を殺したか」となっていますが、殺人事件を扱った本だと思った方はすみません。じつは……、歴史的事件を扱った本でした。

スライドを作りながら、改めて頭の中を整理できたのもいい経験でした。なるべくなら、人前で話すことは避けたいと思ってこれまで生きてきましたが、文章を書く上では、他人にわかるように話す経験も時には必要だ、と痛感した次第です。

次に、中銀カプセルタワービル保存・再生プロジェクト代表の前田達之さんから、ビルの現状や利用者の方々がどんな工夫をしながら暮らしているのか等々、美しい写真の数々とともに「カプセルタワービルの今」を説明していただきました。

「過去と現在」がざっくりと見えたところで、後半は、佐々木さんの司会による「未来」へと向かうフリートーク。緊張のあまり何をしゃべったのか、よく覚えていません。佐々木さんの質問にちゃんと答えられたのかどうか、心配です。

仕事柄、質問することには慣れっこですが、されることにはまったく不慣れなので、いざ聞かれると慌てるか、必要ないことまで喋ってしまい、後になっていつもはげしく後悔しています。佐々木さんの鋭い質問のおかげで、これまで言葉にできていなかった執筆動機を明確に認識することができました。感謝いたします。

考えてみたら、佐々木さんとはほぼ初対面ですし、前田さんとも中銀カプセルタワービルの取材で知り合ったばかり。興味関心や価値観の異なる人間同士が中銀カプセルタワービルという1点で交わり、イベント後はまた、それぞれの場所で自由に生きていく。これもまた、カプセル的な出会いかな、と思います。

イベントのために、事前にいろいろと準備してくださったお店の方、双方の編集・営業担当の方々にも、この場を借りて改めて御礼申し上げます。いつかまた、どこかでご一緒しましょう。そして、今回、事情で会場に来られなかった方は、また次回、お目にかかりましょう。(って、あるかどうかは、わかりませんが……)

最後にもうひとつ、お知らせを。

「日経Bizアカデミー」で連載中の「ダイバーシティに挑む」で、元バックパッカーと元証券マン、二人の若者がインドでの起業に挑戦している話をインタビューしました。記事は先週(7日)と今週(14日)の2回に分けて掲載されています。

こちらはある意味、世界的規模で動くひと。なんだか、おばさんみたいな言い方で恐縮ですが、若い人たちの行動力とエネルギーにはいつも圧倒されます。そして、お年寄りのエネルギーには、もっと圧倒されっぱなしです……。

実際も、おばさんです。

2016年の初仕事

2015年12月26日から14話連続で公開されたNews Picksの「イノベーターズ・ライフ」。日本交通会長でJapan Taxi社長の川鍋一朗さんの半生を、ストーリーにしたものです。2015年最後にして2016年最初の仕事ともなったわけですが、いろいろと初体験ができて、面白かった気がします。連載中、1日も欠かさずコメントを寄せてくださった川鍋さんに感謝するとともに、改めて「社長業に休みなし」を思いました。

https://newspicks.com/news/1334010?block=side-news-series